毎年、数十人の選ばれし選手がプロ野球選手となる。それと同数で、全体の約1割の選手が解雇されるプロ野球界。
天国に目を奪われがちだが、本書では地獄を見た男たちを取り上げている。
本書ではTBSの「バース・デイ」で取り上げた5人の選手を紹介しているが、十人十色ならぬ5人5色だった。大越基、田中一徳、橋本清、石毛博史、野村克則の5人の物語を、本書はその後の人生や生き様を見事に活字にしている。
スラスラと読んでいるうちに気付いたのだが、彼らは解雇される前から薄々ではあるが自分が解雇されることに気付いているらしい。分かってはいるのだが、実際に解雇されるとショックのほうが大きい。
あっさりと割り切る選手もいるそうだが、大半の選手は割り切れず、第二の人生も棒に振ってしまう。この瞬間、上が高ければ高いほど下も低くなるという世の現実を再認識した。
ただ、冷静に考えてみると、大半のプロ野球選手は解雇される運命にある。引退試合をする選手はごくわずかで、大多数の選手は静かにグランドを後にする。
そして、本書で登場する選手は(短い期間とはいえ)それなりの花を咲かせた選手であり、私でも知っている選手である。よって、解雇された選手の中では恵まれた境遇だったのではないかと考えてしまった。
実際はどうなのか分からないが、我々にも戦力外通告という言葉は全く縁が無いわけではない。むしろ、終身雇用制度が崩壊した現代においては、標準語となりつつある。
本書を読むことで、我々は今を一生懸命生きる重要性を再認識するだろう。そして、1つしかない人生ではなく、もう1つの人生を自分自身でデザインする必要性を痛感するだろう。
所詮、サブカルを扱うムックです。逆に楽しんで読めます。